【テクニカルライター】って、こんな仕事です。 [技術英語の実務@世界のF社&H社]
過去記事の再アップです。
http://blog.so-net.ne.jp/bridge2005/2005-11-11
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読んでいるブログ「技術英語」の記事で、この英文について話題になっていました。
This software shall be tested in accordance with the instruction book and shall monitor the performance of the hardware.
(以下、僕のコメントです。)
「日本文にすると、受動態と能動態が同一文内に混在し、本当に不自然ですね。」
とありますが、僕は英語自体にも相当の不自然さを感じます
「工業英検1級テキスト」だったか別の本か忘れてしまいましたが、
次のような記述があったのを憶えています。
*一文の中では必ず態を揃える。
*文毎に態が変わるのは悪文。
*英語はできる限り能動的に書く。
*受動態=「どうしても能動的に表現できない時にのみ使用するもの」
*受動態を多用するのは日本人の悪癖。
だからこそ、「will 原形+will受動態」がgoogle検索でほとんどヒットしないのだと思います。
以上をふまえて、今回の英文を僕なりにリライトしてみます。
①能動態のみで書くと・・・
In accordance with the instruction book you shall test this software, which shall monitor the performance of the hardware.
②受動態ではありますが、こちらの方が字数が少ないうえ、わかりやすいでしょうか?
This software, monitoring the performance of the hardware, shall be tested in accordance with the instruction book.
周囲が受動態なら、②の方が良いことになります。
ただ、文章全てが受動態というのも、やはり気持ちが悪いのですが。
実は、②の文はSTE (Simplified Technical English) のライティング手法を取り入れています。
*文を and でつないで、わざわざ長くしない。
*時系列通りに短文の連続で表現する。
(まだ研究中なので、これ以上詳しくは語れません。)
②の文は and を使わず、時系列的にも上手く並んでいるので、
僕的にはベストだと考えています。
ただし、いつもながら「前後関係」がわからないので、
「流れ」として見ると①②のどちらも、
かえって原文より不自然なのかもしれません。
こんなコメントしてますが、テクニカルライターとしては、
「どんな文体がふさわしいか」というのは、実は二の次なんです。
「他のライターと用語や表現が合っているか」
「表記ルールから逸脱していないか」
・・・実はこれが一番大切です。
「これ、おかしいよね」という表現があった場合は、
全員の意思統一を図らなければなりません。
でも、これは最終段階。
その前に、まずこんな過程を踏んでいます。
旧モデルと新モデルでは何が違うのかを設計さんに聞きに行くのが最初。
それを元にストーリーを練り、
「こんな流れでお願いします」
とイラストさんに頼む。
図面を見ながら、
「あれ、設計さんの話となんか違うぞ!」
とあせって聞きに行く。
自分でストーリーを考え、
自分で説明文を書く。
英語マニュアルの場合は、
英語で直接書き起こす。
ここが「翻訳家」との大きな違いですね。
「英語で書き起こす」といっても、
それが出来るのはウチでは僕だけです。
他のライターは翻訳会社に頼んでいます。
チームでやってるので、
自分だけ一生懸命ではダメ。
自分だけ完璧でもダメ。
日本語にしても英語にしても、
「おかしい」ことに敏感な僕には、
そこがかなり息苦しい。
「これ、絶対おかしいでしょ!?」
が人によっては通じないんです。
英語はもちろん、
日本語でさえ通じません。
毎日が設計さんや他のライターとの戦い。
時間との戦い。
そして、妥協してしまう自分との戦い。
そんな日々です。
僕みたい「細かい所ばかりが気になる頑固者」か、
「なーんにも気にしない脳天気ヤロウ」
じゃないと務まらない仕事です。
「ウチの職場は・・・」ってことですよ。
(テクニカルライターの方、読んでらしたらごめんなさいね。)
ウチはまるっきり正反対の人間が集まってるので、
今までルールが何もないに等しい状態だったんです。
最近ようやく動き出しましたけど。
(「近況報告②」をお読みください。)
他はもっとキッチリしてるはずですよ。
きっと、僕みたいなのばかりがいるはずです。(笑)
テクニカルライターのお仕事の内容を教えていただきありがとうございます。
私がブログで紹介した文は、ネイティブ(とはっきり明言できませんが、アメリカの企業の社員)が書いたものでした。ですので、きちんと文法に則った文章を書くのはなかなか集中力がいるものなのだなぁと思い、ブログに書いてみました。
by oceanbridge (2007-07-30 13:44)