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そで書き-1 【本書について】 [エーリッヒ・フロムの遺産]

エーリッヒ・フロムは、最も有名な精神分析家の一人であり、『愛するということ』や、『自由からの逃走』など多くの著作がベストセラーとなって広く世界中で読まれ続けている。だが学問上は、フロムの死後に彼の業績が影響力を持つということはほとんどなく、むしろ無視や誤解の的となっている。この不当な運命から彼を救い出すため、その思想の正確な批判的理解をめざしたのが本書である。著者はまずフロムの仕事を時代区分したうえで、思想史のなかでの彼の位置を多角的に検証していく。フロイトへの忠実と反抗、多くの精神分析家たちとの類似と相違、実存主義やマルクス主義との関係、母権論との関係、19世紀ドイツ思想からの意外な影響・・・・・。日本においても熱心な読者の多いフロムを、心理学や思想の領域において改めて位置づけしなおす、貴重な試みである。フロムの著作を読まれた全ての方にお薦めしたい。
フロムの遺産

フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本

 


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そで書き-2 【推薦文】 [エーリッヒ・フロムの遺産]

ポール・ローゼン
「ついにエーリッヒ・フロムは当然得るべきものを得た。このスケールの大きな知的伝記は、フロムの弱点をもおおいかくすことなく、彼を思想史の中に位置づけている。バーストンのこの本は、新しい世代の読者を、フロムの精神の真に偉大な力に目ざめさせてくれるだろう」

アンソニー・ストー
エーリッヒ・フロムは社会学者であり、かつ精神分析学者であった。彼はマルクスとフロイトから深い影響を受けたが、いずれにも無批判に追随する事はなかった。フロムは多作であった・・・・・しかし、その死後、彼の貢献はなおざりにされてきた。ダニエル・バーストンの学識と文才にあふれた文章は、フロムが精神分析史における重要人物であり、フロイトと近代社会に対する彼の批判は当然再検討されてしかるべきであるという所以を、みごとに論じている。これはすばらしい本だ」

フロムの遺産

フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本

 


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【1】人と仕事-年代区分 1st段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

そもそも、思想家の仕事を年代によって区分することは誤解を招くおそれがあるが、彼を同時代人の間に位置づけ、変化する知的環境のなかで、彼の発展の文脈を辿るためには役立つだろう。この観点から、1929―1935年をフロイト-マルクス主義期と性格づけることには意味がある。フロムはその後もフロイト-マルクスの総合について考え続けたが、このもくろみは彼の初期を通じて支配し、他の関心―バッハオーフェンと母権理論など―はこの上位目的に結びつけられるかたちになっていた(フンク 1984)。この時期には、精神分析と史的唯物論、母権理論、そしてファシズムの心理学に関するフロムのめざましい研究の発表が見られたが、それとともに正統フロイト主義への不満の高まりが見られ、それは『精神分析理論の社会的限界』(フロム 1935a、ジェイ 1973)で頂点に達した。

 

フロムの遺産フロムの遺産
作者:
ダニエル バーストン
出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
発売日: 1995/12
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うら書き 【著者】&【訳者】 [エーリッヒ・フロムの遺産]

フロムの遺産

フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本

 

1996年1月10日 第1刷 発行

著 者
Daniel Burston

1954年生まれ。ヨーク大学心理学部教員、
およびカナダ社会科学・人文科学研究会
議政治学部門の博士号取得研究員。

訳 者
佐野 哲郎

1931年生まれ。京都大学文学部英文科卒。
現在、神戸親和女子大学文学部教授。
訳書:フロム 『希望の革命』 『破壊』 『生
きるということ』 『フロイトを超えて』
『反抗と自由』 『人生と愛』 『ワイマールか
らヒトラーへ』、フンク『エーリッヒ・フ
ロム』 (いずれも紀伊國屋書店)。


訳 者
佐野 五郎

1935年生まれ。京都大学文学部独文科卒。
訳書:フロム 『人生と愛』 『ワイマールか
らヒトラーへ』、フンク『エーリッヒ・フ
ロム』 (いずれも紀伊國屋書店)。


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訳者あとがき 1st段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

フロムの遺産フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本

 

本書は、Daniel Burston, The Legacy of Erich Fromm (Harvard University Press, 1991)の全訳である。エーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』、『正気の社会』、『愛するということ』、『生きるということ』などの著書によって日本でも多くの読者を獲得し、その他の著書も、主なものはほとんどが日本語に訳されている。フロムの魅力の一つは、彼がきわめて啓蒙的な思想家であるというところにある。難解な表現を避け、繰り返しをいとわずに、人間存在の基本的な諸問題について説き去り、説き来たって、倦むところがない。しかし、彼の説くところは必ずしも明快な論理で貫かれているわけではない。それはフロム自身が大きな矛盾をかかえた存在だからである。近代的な理性を重んじ、合理主義的な思考を基本とする一方では、神秘主義への傾斜を見せ、資本主義の枠組みの中にあって、マルクス主義へエールを送り、さらに、フロイトに対しては、あとで述べるように、つねに二重感情をもって接するというふうに。だが、そうはいうものの、これらは解決しえない対立ではなく、むしろ、そのためにこそフロムという人間がいっそう大きく豊かな存在となったと言えるのである。


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訳者あとがき 2nd段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

フロムの哲学の根本にあるものはヒューマニズムである。別な言い方をすれば、それは生命への愛である。人間はみずからの意志に関係なくこの世に生まれ、みずからの意志に反してこの世から連れ去られる。そのかぎりでは他の動物と変わりがないが、その運命を自覚するがゆえに悲劇的であり、その運命を超えようとするがゆえに偉大にもなりうる。フロムにとって、人間が十全に生きるということは、まさにみずからのかぎりある生命を超えることであって、それに資するものは善であり、それを阻害するものは悪である。かくして、フロムはつねに倫理的であって、これもまたフロムの魅力であろう。そのような倫理を説く際にフロムが言及するのが、古今東西の先人たちである。それは旧約聖書の預言者たちであり、キリストであり、仏陀であり、ギリシャ・ローマの古典作家たちであり、マイスター・エックハルトであり、スピノザであり、芭蕉であり、マルクスであり、シュヴァイツァーであり、鈴木大拙である。これらの人々を引き合いに出すとき、そこに私たちは今の世の中からほとんど失われた全人格的信頼ともいうべきものを見る。ときにはそれはあまりにも楽観的に見え、批判も招いている。しかし、このように人間を信じる姿勢が根本にあればこそ、フロムはあれほど多くの若者たちを惹きつけ、その生き方にも影響を与えてきたのではなかったか。

フロムの遺産フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
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訳者あとがき 3rd段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

著者バーストンは、フロムが少なくともアメリカにおいては、死後不当に軽視されていると感じ、フロムを正等に位置づけようとする。著者が最も重視するのは、フロムのフロイトとの関係である。フロムは無意識の領域にメスを入れたフロイトを高く評価したが、彼の生物学的、機械論的な衝動理論や父権主義的な枠組みは批判した。しかし、フロムはフロイトの天才を認め、その先駆的な業績には多大の敬意を払っていたのである。著者はこの二重感情に注目し、フロムを「忠実な野党」に分類している。そして、フロイトを取りまくさまざまな学者たちのフロイトに対する態度と、フロムのそれとを対比してみせる。フロイトという焦点を持つゆえに、それぞれの類似点や相違点が浮き彫りになるのであって、ライヒやマルクーゼとの対比も、そのためにいっそう興味深いものとなっている。

フロムの遺産フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
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訳者あとがき 4th to 6th段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

 本書はさらに、マルクス主義、バッハオーフェンの母権理論というフロムに大きな影響を与えた思想を取り上げ、次いであまり論じられることのないフロムの臨床上の貢献をも含め、実存主義、社会的性格など、フロムの本質的な問題へと論を進めていくのだが、著者はつねにフロムを精神分析の歴史の中に置くというだけでなく、さらに広くヨーロッパの思想の潮流の中に置くという、きわめて視野の広い態度を保っている。そのために著者が渉猟した文献は膨大な量にのぼっている。アメリカにおける精神分析の教科書の著者たちの不勉強を批判しているのも、この自信から来るのだろう。よく目の行き届いた、均衡のとれた叙述であり、フロムもすぐれた知己を得たというべきだろう。
 本書には多くの文献が引用され、その頁数まで明記されているが、読者の便宜を考えて、フロム自身の著書、およびライナー・フンクの伝記『エーリッヒ・フロム』については、ごく一部を除いて、文献リストに掲載した邦訳書の頁数に改めた。ただし、訳文は私たちのものである。なお、訳書のうち、たとえばフンクの伝記のように、私たちがドイツ語から訳したものについては、本書の引用と多少の異同があることを、つけ加えておく。本書の翻訳に当たっては、まず佐野五郎が全文を訳し、それに佐野哲郎が筆を加えた。
 出版に際してご苦労をおかけした紀伊國屋書店出版部の高橋英紀氏、および前任者の荒木好文氏に、厚く御礼申し上げる。

1995年12月

佐野哲郎

フロムの遺産フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
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【1】人と仕事-序文 1st段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

臨床心理学と社会心理学、および精神分析運動の双方に寄与した精神分析家たちのなかで、エーリッヒ・フロムは、一時期最も有名で多作な学者の一人であった。彼の著作『自由からの逃走』(1941)、『正気の社会』(1955b)、『愛するということ』(1956a)、そして『禅と精神分析』(1960d)はベストセラーとして、広く熱心な読者を獲得した。しかし、フロムの死後それらの著作は学問上ほとんど影響力をもつことなく、彼自身も忘れ去られようとしている。この知的伝記の目的は、フロムをそのような不当な運命から救い出し、彼の業績を批判的、歴史的視点でとらえることにある。それによって私たちは、高くそびえ立つ天才であるとか、あるいはフロイト思想の深い含意に対して現実に敵対はしなかったにしても心の底では冷淡であった、あいまいで説教好きな通俗学者であるというような、陳腐な決まりきった人物像を免れることができるだろう。

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  • 作者: ダニエル バーストン
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【1】人と仕事-序文 2nd段落-上 [エーリッヒ・フロムの遺産]

臨床家、社会心理学者、実存主義的なヒューマニストとしてのフロムの本質的な価値は別として、彼の仕事が心理学と精神分析の歴史の上で興味深いものであるいくつかの理由がある。社会心理学に対するフロムの考察は独特のものであった。それは、十九世紀の精神科学(Geisteswissenschaften)のさまざまな提唱者たちの精神や複雑な理論を総合しようと試みるにあたって、現代社会における服従と同調の社会的、歴史的決定因子についての経験主義的調査計画を立て、カール・マルクスとジークムント・フロイトから借用した基本原理によって、社会心理学の過去と現在を結び付けようとした点にある。さらに、・・・

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【1】人と仕事-序文 2nd段落-下 [エーリッヒ・フロムの遺産]

さらに、フロムの精神分析運動の歴史に対する考えは思想的に極めて刺激的であり、彼の生き方と同僚にに対する関係とは、私が「フロイト崇拝」と呼ぶものの啓蒙的な実例となっている。師に対するこの崇敬の態度の構造および内容と根底的決定因子は、精神分析修史において最もなおざりにされている問題である。入念に観察すれば、フロムの人生と思想はこの現象に満ちている。たとえば、パトリック・マラヒーの『エディプス---神話とコンプレックス』の序文でフロムは、同世代のある人々に警告している。「信じやすい大衆は、今後何世紀も記憶に残る天才と、・・・・彼の発見をもとに付け加え、修正し、訂正する者たちとを区別できないことが多い。実際、巨人の肩に乗っていると巨人より背が高くなるから、彼を見下すことができるのだと思う者がいるものである」(マラヒー1984、iv頁。)

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【1】人と仕事-序文 3rd段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

また、リチャード・エヴァンズとの会話においてフロムは、自分とカレン・ホルナイやハリー・スタック・サリヴァンとの違いについて次のように述べている。「私はまるで、・・・・・自分がフロイトの弟子であり、翻訳者であって、彼の最も重要な発見を明らかにし、それをやや偏狭なリビドー理論から解放することによって、豊かで深いものにしようとしている気がするのです。」(エヴァンズ1966、59頁)。

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【1】人と仕事-序文 4th段落-上 [エーリッヒ・フロムの遺産]

言い換えれば、実際に会ったことはなかったものの、フロムのフロイトに関する関係は、彼のアイデンティティの感覚の中軸となるものであり、進展し続けた彼の生涯の仕事の際立った特徴は、フロイトへの忠節を他の影響や思想と調和させるための絶え間ない努力をいかに反映していくかという点にあった。もちろん、これはひとり彼のみの運命ではなかった。それはフロイトの「忠実な野党」すべてが共有するものであった---彼らは、重要な問題についてフロイトと意見が異なるにもかかわらず、また、その結果、しばしば同僚たちのうちで信頼、尊敬、信用を失うこととなったにもかかわらず、フロイトに関する忠節のために精神分析の組織的な枠内にとどまった分析家たちである。(注1)ジョン・ゲドー(1984)は「忠実な野党」という述語を明確に異なった意味で用いる。

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【1】人と仕事-序文 4th段落-中 [エーリッヒ・フロムの遺産]

このグループには、ルートヴィッヒ・ビンスヴァンガー、ゲオルグ・グロデック、シャーンドル・フェレンツィ、学者として初期の頃のカレン・ホルナイのような独立した分析家たちがいる。また、のちに、明瞭に識別できる目的や傾向を認められた人々、すなわちウィルヘルム・ライヒ、フロム、オットー・フェニフェルらのフロイト-マルクス主義者たち、W・R・D・フェアベン、ハリー・ガントリップの対象関係理論家たちがいる。そのなかで、フロイト-マルクス主義者たちは最も別派行動的であって、フロイトの仕事のどの点が本質的で、どの点が切り捨ててよく、あるいは誤まっているかを討論しあう傾向が強かった。

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【1】人と仕事-序文 4th段落-下 [エーリッヒ・フロムの遺産]

このグループには、ルートヴィッヒ・ビンスヴァンガー、ゲオルグ・グロデック、シャーンドル・フェレンツィ、学者として初期の頃のカレン・ホルナイのような独立した分析家たちがいる。また、のちに、明瞭に識別できる目的や傾向を認められた人々、すなわちウィルヘルム・ライヒ、フロム、オットー・フェニヒェルらのフロイト-マルクス主義者たち、W・R・D・フェアベン、ハリー・ガントリップの対象関係理論家たちがいる。そのなかで、フロイト-マルクス主義者たちは最も別派行動的であって、フロイトの仕事のどの点が本質的で、どの点が切り捨ててよく、あるいは誤まっているかを討論しあう傾向が強かった。

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【1】人と仕事-序文 5th段落-上 [エーリッヒ・フロムの遺産]

多くのすぐれた思想家を含む忠実な野党は、時として精神分析の「異端派」との間に葛藤を生じることがあった。異端派は多様な集団であって、アルフレート・アードラー、カール・ユング、オットー・ランク、後年のホルナイらがいた。彼らは弟子としての一時期を経たのち、短期間、野党暮らしをかこっていたが、結局は追われ、あるいは去るか、みずから一派を立てるかを余儀なくされたのであった。ここにはまた、・・・

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【1】人と仕事-序文 5th段落-下 [エーリッヒ・フロムの遺産]

・・・余儀なくされたのであった。ここにはまた、イアン・サティやチャールズ・ライクロフトなどの有力な人々がいるが、彼らはフロイトとは何の個人的なかかわりもなく、一派を立てる欲求も持たないのに、フロイト主義の伝道者をもって任じていたが、結局は個人的あるいは知的な危機が訪れ、彼らの修正された臨床的方向づけは師に対する真っ向からの批判になったのである。(たとえば、ライクロフト1985、序文)。ハリー・スタック・サリヴァンはその中心にいる。それはフロイト崇拝をまったく経験しなかったというだけの理由なのだが、そのことはフロムをきわめて不快にさせていたに違いない。

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【1】人と仕事-序文 6th段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

第三のグループ「隠れ修正主義者」は、フロイトに対する忠節を唱えることにおいて正統派と忠実な野党に似ていた。しかし彼らは修正主義的行動計画を公言することはなく、実際は正統主義からの重大な逸脱であることを師自身の思想の論理的延長であるように見せかけた。その方途として、彼らは伝統的なフロイト主義者の性と攻撃の強調を受け入れているように―実際にはそれから逸脱した思考を発展させながら―よそおい、あるいはまた、異端派に発する考えを取り入れながら、その先輩たちへの挨拶もなく、それをリビドー理論として組み込んだ。これは最も多様性に富んだ分類であって、次の人々が入る。エリク・エリクソン、ハインツ・ハルトマン、イーディス・ジェイコブソン、メラニー・クライン、ハインツ・コフート、マーガレット・マーラー、ドナルド・ウィニコット、そして奇妙なことにジャック・ラカンも。彼は他の者たちとは違って、主流にとどまるよりもむしろフロイト―あるいは彼の理解するフロイト―に対する忠節のために、正統派からの追放をみずから求めたのであった。

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【1】人と仕事-序文 7th段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

それでも、これら三グループ―忠実な野党、異端派、隠れ修正主義者―が区別されるのは、実際の彼らの考えの内容よりも、フロイトに対する彼らの態度と、「正統派」および「他派」に対する彼らの姿勢とによってであった。というのは、異端派の中で生まれた考えがしかるべき通過儀礼を経て、結局本流に入り込んでいったからで、そこでは初期の異端の徒を排斥し論難することによって、フロイトへのみずからの忠節を証明しようとする努力が真剣に続けられているのである。かくして、胎内、すなわち共生的子宮期からの個別化の重要性についての、ユングとランク(異端派)、フロムとフェアベン(忠実な野党)、マーラーとジェイコブソン(隠れ修正主義者)のそれぞれの認識の相違は、自我の性質と機能についてのハルトマンとラカン(隠れ修正主義者)の間の本質的な相違と比較すれば小さいのである。

 

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【1】人と仕事-序文 8th段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

現代精神分析は、これら三グループの間の血なまぐさい反目と必然的な合流との産物である。そして、正統派と隠れ修正主義者の、彼らの集団以外から生まれた神経症の病因と治療についての洞察を―できればひそかに―本流へ吸収することによって、すでに始まっているこの運動を麻痺させかねない理論的硬直化を相殺しようという切迫した必要の産物である。このことに関連して考えられることはまれであるが、フロムはこの過程で重要な役割を演じた。フロイトの忠実な野党の左翼メンバーとして異端派と親近関係にあった彼は、精神分析運動の周辺にあった考え方をその中心に移すための仲介役をした。そして彼がこの仲介機能を演じたために、実際は彼の生み出した多くの考えが、のちになって、より名の通った学者たちの採用するところ(それも彼らの創始によるものとして)となった。

 

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【1】人と仕事-序文 9th段落 [エーリッヒ・フロムの遺産]

私はフロムを忠実な野党に分類することで、彼を異端派に位置づける正統派と隠れ修正主義者の統一見解を暗にしりぞけている。彼自身の評価―私の評価でもある―によれば、彼とホルナイおよびサリヴァンの間の目立った相違は、彼のフロイトに対する親近感と忠節心である。さらに、彼の強力なフロイト崇拝の要素は、異端派に対するフロイトの不寛容さを公然と批判しているにもかかわらず、アードラー、ユング、ランクとの討論の端々ににじみ出ている。私は、精神分析の医学化と官僚主義化に対するフロムの痛罵が、彼を異端派に分類するのに大きく影響したのではないかと思っている。これらの問題についての彼の率直な公然たる態度は、事実上彼を北アメリカの本流を形成する学者たちと対立させた。彼らは自分たちの都合のために、フロイトの忠実な野党と異端派とを区別せずにひとまとめにしているのである。

 

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