・・・余儀なくされたのであった。ここにはまた、イアン・サティやチャールズ・ライクロフトなどの有力な人々がいるが、彼らはフロイトとは何の個人的なかかわりもなく、一派を立てる欲求も持たないのに、フロイト主義の伝道者をもって任じていたが、結局は個人的あるいは知的な危機が訪れ、彼らの修正された臨床的方向づけは師に対する真っ向からの批判になったのである。(たとえば、ライクロフト1985、序文)。ハリー・スタック・サリヴァンはその中心にいる。それはフロイト崇拝をまったく経験しなかったというだけの理由なのだが、そのことはフロムをきわめて不快にさせていたに違いない。

フロムの遺産

  • 作者: ダニエル バーストン
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本