契約を切られた翻訳会社・・・その理由 [技術英語の実務@世界のF社&H社]
2年前の過去記事「翻訳の質はなぜ悪いか」を改題し、再アップしました。
長年の当社専属だった翻訳会社が、「品質が悪い」という理由で、
とうとう今春に契約を切られてしまいました。
翻訳会社と当社にそれぞれに非があります。
しかし、切られたのは翻訳会社の方。
少し、かわいそうな気がします。
翻訳会社さん、専属だからってウカウカしてられませんよ。
自社の問題点を自覚・改善し、また、お客の問題点をも指摘・改善提案しないと、こういうことになってしまいます。
しかし、この2ヶ月程で既に新たな問題を露呈しています。
新しい翻訳会社の問題点は、別記事で書きます。
- 作者: ケビン モリセイ
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 2005/02
- メディア: 単行本
レビュー記事
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2008-05-01-1
2年前の過去記事「翻訳の質はなぜ悪いか」
昨日の記事で「翻訳会社から納品される英語がヒドイ」と書きました。
翻訳家の方、気分を害していたらスミマセン。
全ての翻訳会社がそうなわけではありません。
僕が働いている企業の契約している翻訳会社だけなんだと思います。
一体何を言いたいのかまるでわからない、ピリオドまで6行もある英文が納品されたことがありました。
資料を元に解析して意味がやっとわかり、修正(というか全面書き直し)すると半分くらいの文字数ですんでしまったのです。
ところで、このように翻訳の質がひどくなるのには明確な原因があります。
原因
①
普通の翻訳会社ならば本来いるはずの翻訳チェッカーが、どうやらその会社にはいない。
②
翻訳家さんは実際のモノを見ていないので、その商品特性に合った単語選択ができない。
③
翻訳納期がきつ過ぎるため機械翻訳に頼らざるを得ず、結果、和文の一字一句が「忠実に」英語に置き換えられている。
④
そもそも日本人ライターの書いた和文がひどい。
原因の原因
①
完全にその翻訳会社の怠慢です。
②
ちょっと無理があるのかもしれませんが、長年専属でやっているのだから、少しは勉強して欲しいものです。
③
これはウチの会社が悪い。
日程管理がなっていないから、こんなことになるんです。
④
あるライターは、読者を意識していないひとりよがりの文になっています。
また、別のライターは、いわゆる「てにをは」が滅茶苦茶です。
モノはわかっていても、日本人でありながら日本語がダメ。
「あぁ、この和文からではこの英語しか出て来ないわな。」と思わざるを得ない酷さ(←敢えてこの字)です。
①②③は改善できることです。
お互いがそれぞれ、もう少し努力すればいい。
具体的な対策が打てます。
ところが④は手の打ちようがありません。
小学生レベルの日本語を企業内で教育している時間はありません。
経験が長くモノ自体はよく知っている方なので、これまた困ってしまうのです。
本人が自覚しないことにはどうしようもありません。
日本人なのだから、せめて、まともな日本語を書いて欲しい。
でも、技術屋さんにはこういう方が実は多いんです。
(今度は、技術屋の皆さん、ごめんなさい。)
はじめまして!
先日は、私のブログへの書き込み、ありがとうございました。
私もチェック仕事をすることがあるのですが、和訳でも、あります、こういうの。
よくできた翻訳の場合は、「この言い回し、今度使おう!」と、とても勉強になりますが、ひどいものになると、英文とつき合わせて確認して、なるべく翻訳されてきた文章を生かして…、という作業はとても大変です。最初から自分で訳した方がずっと早い!おまけに、チェックは単価がべらぼうに低い。
…ということで、チェックは嫌いです。
でも、チェックを経験すると、自分が翻訳する時には、チェッカーさんがつらい思いをしないように気をつけなくてはと思います。
by 栞 (2006-08-26 02:04)
栞 さんは在宅の翻訳家さんです。
僕は工業系ですが、栞 さんは法律系が専門のようです。
翻訳家志望の方、「翻訳家の1日」って興味あるでしょ?
参考になりますよ。
by Hirosuke (2006-08-26 03:33)
とても参考になります。nice!!です。
私は個人的には、依頼元会社が翻訳会社に丸投げみたいな状態では、いいものが生まれないと思います。社内翻訳者を置けば、少なくとも2と4の問題は解決されます。特に4の問題は、分からないときに原文作成者に質問できるようになり、原文作成者が次に日本語を書くときに少しは注意してくれるようになるからです。
私が今お世話になっている会社では、そういう事情から社内翻訳者を置くようになったと聞きました。
by oceanbridge (2008-06-17 21:10)
oceanbridge さん
>依頼元会社が翻訳会社に丸投げみたいな状態では、いいものが生まれないと思います。
そうですよね!僕等からすると当然なんですけど、・・・これ以上は今度の記事で。
>特に4の問題は、分からないときに原文作成者に質問できるようになり・・・
僕に「この1文だけ、お願いします。」って聞いてくるライターもいるんですが、「1文だけ」というのが一番困ります。
「前後の文もイラストもないんじゃ出来ないよ!」と言うと資料を持って来るんですが、その1文(日本語)の意味をつかむのに5分位はあーだこーだと話しますかね~。
結果、「日本語が全然違うじゃん!流れからすると、こうでしょ!だから英語はこう!!」ってことがよくあります。
>社内翻訳者を置けば、少なくとも2と4の問題は解決されます。
そうしたいんですけど、できない事情がありまして。これも次回記事ですね。
by Hirosuke (2008-06-19 22:59)